16回おうみ佐保塾(現地探訪)

 

 

       ~ 湖族の町堅田をたずねて ~

 

 1021日(金)、堅田にて第16回おうみ佐保塾・現地探訪を行いました。お世話係の役員を含めて33名の受講生が、講師のいかいゆり子氏、現地ガイドの本田栄子氏のご案内をいただき、穏やかな秋の一日を有意義に過ごさせていただきました。

 

 芭蕉の名句「病雁の…」の句碑他がある本福寺見学を皮切りに、宝井其角寓居跡、一休和尚と芭蕉句碑で知られる祥瑞寺、琵琶湖を借景とする居初家庭園、芭蕉ゆかりの十六夜公園を経て、湖族の郷資料館にて昼食タイム。午後は殉教者を祭る光徳寺、高名な浮御堂を有する満月寺を巡り、その浮御堂のそばにある湖中句碑と同じものが拝見できる浪乃音酒造・余花朗にて、全行程を終了致しました。

 

 居初家庭園ではご当主が自ら丹念な解説をして下さいましたし、光徳寺ではご住職から心的な背景まで伝わってくるお話をいただき、余花朗では予定に無かったお座敷まで特別にご案内いただきました。いかい氏のエネルギッシュで学識溢れる解説、経験豊かな本田氏の分かり易いガイドに加え、こうした現地の皆様のご親切なご案内に支えられ、大変良い勉強が出来た一日であったと思います。ご参加の皆様からも、大層お喜びいただけました。

 

 座学だけでなく現地を訪ねることの大切さは、例えば芭蕉が湖上を移動した距離を目視する等、文学の背景を知り得た時に感じられるものでしょうが、今回の探訪に参加して、文学の解釈の上でも重要であると痛感しました。不学な私が単なる挨拶句であると感じていた「朝茶飲む僧静かなり菊の花」ですが、まさにこの句が詠まれた地で、しかも季節も秋に鑑賞したこの日、何とも言えぬ味わい深さが沸き起こって来たのです。ご案内いただいたお二人のご指導と、ご参加の皆様の向学心溢れる雰囲気に支えられた、貴重な体験でした。

 

 この日に鳥取で大きな地震があり、私達も堅田で震度3の揺れを感じました。鳥取の皆様の恐怖とご苦労を思い、胸が痛みます。心よりお見舞いを申し上げます。(T氏記)

 

当日のようす

  鎖あけて月さし入れよ浮御堂      病雁の夜寒に落ちて旅寝哉     朝茶飲む僧静かなり菊の花

                                                               

            書 和田隆子さん